【密着 | 藤原梨園③】梅雨の試練を乗り越え、幻の「新水」収穫へカウントダウン

前回の取材から約3ヶ月。

桜のあとに梨園を真っ白に染め上げたあの可憐な花々は、一体どうなったでしょうか。

7月上旬、しっとりと雨に濡れる由布市庄内町の斜面を、私たちは再び訪ねました。

急斜面に立つと、目に飛び込んできたのは、力強く青々と茂った葉の群生。そして、その葉の合間に整然とぶら下がる、無数の「小袋」でした。

美しさを均一にする「黄色い服」と、野生の「無袋」

7月上旬、藤原さんの梨園では「袋掛け」の作業がピークを迎えていました。

梨の栽培において袋掛けは欠かせません。

「袋掛けは、病気や虫、そして強すぎる太陽の光(高温障害)から実を守るために行います。袋を被せることで、全体がムラなく色づく。うちのお客さんは贈答用(ギフト)が多いんで、欠かせない作業です。」

しかし、あえて袋を掛けずに育てる「無袋(むたい)栽培」の品種もあります。

無袋栽培には、日光や害虫に見た目を害される可能性がありますが、光合成が活発になり、果実に糖分やコクがしっかり蓄えられるというメリットがあります。

藤原さんの梨園では早生の新水に加えて、新高以降に成る品種に袋をかけているそうです。
【有袋】:新水・新高etc 【無袋】:幸水・豊水・秋月

自然の試練――「実割れ」を乗り越えた、さらなる厳選

今年は短期間で大量の雨が降るなど、不安定な天候が続きました。園地を歩くと、地面にいくつかの青い実が落とされているのが目に留まります。

「一気に雨が降ると、実が水を吸うスピードに細胞分裂が追いつかなくて、ひび割れてしまうんです。使えない実は、木から余計な栄養を吸っちゃうんですぐに落とします。」

私たちが秋に手にする藤原さんの梨は、ただでさえ春の「摘蕾・摘花」、初夏の「摘果」で絞られた中から、さらにこの厳しい梅雨の自然淘汰を生き抜いた、まさに「奇跡の精鋭」です。

「旨味は数値化できない。だから食べ比べてほしい」

藤原さんの園地では、10種以上の梨が育てられています。

Q:たくさんの品種がありますが、どれが一番美味しいですか?

「糖度は機械で数値化できます。でも、『旨味』は数値化できません。甘みと酸味のバランス、果肉の粗さ、水分量……美味しいと感じるポイントは人それぞれ。だからこそ、お客様が選べるようにいろんな品種を育てています。」

藤原さんの誇る幻の品種『新水(しんすい)』は、いよいよあと1ヶ月(8月上旬)で収穫を迎えます。今、袋の中で、ひたすら最後の甘みを蓄えるラストスパートに入っています。

誰にも言わない、梨園をめぐる「美しい循環」

藤原さんは、台風や天候で傷ついてしまった梨も決して無駄にはしません。自分たちで果汁を絞り、大分市のクラフトビール醸造所へ提供して限定の「梨ビール」に生まれ変わらせたり、とあるチョコレート工房でドライフルーツのチョコがけとして生まれ変わらせたりしています。

しかし藤原さんはその商品に自分の名前を出していません。

「うちは原料を供給しているだけだから、名前を売る必要はないんです。食べてもらって、相手が喜んでくれればそれでいい」

さらに、ビール醸造所から戻ってきたホップや梨の「絞りかす」を引き取り、時間をかけて堆肥化し、再び梨園の土へと還しています。

「この堆肥を使うと、土作りに欠かせないミミズが育つ、いい土になるんですよ」

名前を誇示することなく、自然と共生する。

その「静かな循環」の中には、職人気質な藤原さんのこだわりが詰まっています。

藤原梨園『新水』予約受付中

ココでしか食べられない品種『新水(しんすい)』。

8月上旬の収穫に向けて、予約販売を開始いたします。

※余談 これはなんだ?

藤原さんの梨園を歩くと、見慣れない形の実が生っている。。

ヒントは新潟県で多く栽培されている品種です。

答えは次回発表します!

次回は、いよいよ8月。

幻の梨『新水』の収穫本番の様子をお届けします!