【密着 | 藤原梨園①】庄内梨の美味しさに迫る。

大分県由布市庄内町。

ここは、110年以上の歴史を誇る「庄内梨」の聖地です。

2月中旬、まだ寒さの残る斜面に立つおふたりを訪ねました。

 

なぜ、庄内の梨はこれほどまでに美味しいのか。

その理由は、この土地特有の厳しい自然環境と、伝統的な栽培法にあります。

庄内梨の果樹園が広がるのは、標高約450mの山間部。

南向きの斜面は日当たりが良く、日中に太陽の光をたっぷり浴びて糖分が作られます。

そして夜、山あいの鋭い冷え込みがその糖分を果実の中にギュッと凝縮させるのです。

さらに、多くの園主がこだわるのが「無袋(むたい)栽培」。

梨に袋をかけず、直接太陽を浴びせることで、肌は少し荒々しくなりますが

その分、驚くほど濃厚でみずみずしい味わいへと仕上がります。
 

庄内梨に惚れた情熱家

園主の藤原さんは46歳で神奈川県から移住し

未経験から情熱一つで農業の世界へ飛び込みました。

「梨の木よりも、人の管理の方が難しいですよ(笑)」

と冗談を飛ばす藤原さんですが

その眼差しは真剣そのもの。

少量生産ならではの徹底された品質管理。

これから秋の収穫まで

私たちが藤原さんの梨作りを密着取材します。

 

2月 ”木の声を聞く”剪定作業

実際に藤原さんの梨園に立ってみて驚いたのは、その急な斜面です。

南向きの太陽を一身に浴びるこの地形こそが美味しさの秘訣ですが、

梨の木は放っておくと上に伸び、枝が混み合って日光が届かなくなります。

この剪定(せんてい)では、全体の7割の枝を切り落とし、残りの3割に栄養を集中させます。

「達人の先輩たちは『木の声を聞け』と言いますが、10年経ってもなかなか聞こえなくて」

不安定な斜面で笑いながらも、50年を超える老木の枝を見極め、

数年先まで見据えて枝を剪定していく姿は、まるで我が子と話しているようでした。

この「見えない努力」が、秋にあの滴るような果汁を生むのです。

剪定後の梨木の様子。剪定前は空に向かって大量の枝が生えていました。

 

園主おススメ!! 幻の梨「新水(しんすい)」

藤原さんの園地には、幸水・豊水・新高・あきづきなど10種類以上の梨が植えられていますが、

中でも園主一番のお気に入りは「新水(しんすい)」という品種です。

「とにかく手がかかる。日持ちもしない。でも、僕が一番好きで、一番うまいと思うのはこれなんです」

栽培の難しさから、今や全国的にも生産者が激減し「幻の梨」と呼ばれています。

市場流通には向きませんが、産地直送であれば、藤原さんが「収穫して3日以内」に皆様の元へ直接お届けできます。

この鮮度で食べる新水は、まさに「新しい水」の名に恥じない、感動の味わいです。

 

次回予告:4月、梨園が真っ白に染まる時

次に皆様にお伝えするのは4月。

梨の花が満開になり、園内が真っ白な絨毯のようになる季節です。

 

次回は、梨を大きく、甘くするために不可欠な「摘蕾」をお届けします。

どうぞ、秋の収穫を楽しみにお待ちください!